ミドリのひとりごと

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zoom RSS はれやかにうつくしく

<<   作成日時 : 2017/10/15 21:21   >>

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19時05分。
東京文化会館小ホール。

ドビュッシーの前奏曲集より「沈める寺」から始まった。
終わって、次の「霧」へ移つる大切な小さな間(ま)。その時、若い男女が中央通路を横切り、上手の方の席に着いた。
ピアニストは、足音や気配に気づき、客席を何度も振り返る。
もちろん、聴衆もすこしザワザワ。
私は心の中で「なんということ!」
どうやら時間ぎりぎりに入り、席にはつけなかったので、下手側の扉の前で立って聴いていたらしい。1曲終わったので良いと判断したのだろう。自由席ながらスムーズに席に着いたということは、友人か誰かが、先に席をとっておき、おそらく携帯で座席番号を知らせていたとしか考えられない。

これで先ず、(良くない意味で)緊張の糸がプチンと切れた。
見れば、どうやらまだお年を召したお二人が立っておられる。
不安がよぎった。

案の定、3曲目の「月の光がふりそそぐテラス」が終わったとき、今度はおりたたみ椅子を拡げる音がした。ほぼ満席なので、とりあえず用意してあったらしいのだけど、やはり、ザワザワとして、演奏家は何度も振り返る。

どんな事情があろうとも遅れてきたのが悪いのだから、休憩までずっと立って聴くのが普通だし、それがマナー。
それを知らないということは、(前出の)二人も、老夫婦も、演奏会に慣れていないとしか言いようがない。係の人も新人だったのではないかしら?

暫くはよかった。

ところが、「西風が見たもの」が終わりかけた時、今度は携帯が鳴った。余韻も何もあったものではない。何を考えているの?
私は早くホールへ行った割には、一番後ろ(これが、ピアノを聴くには今までの中で一番いい場所)の席に座ったので演奏家の表情が見えなかったけれど、前の方で、小さな笑いが出ていた。
ホントに困ったわねえ、という顔をされたに違いなかった。

それよりも私にとって本当に困ったのは、香水の(香りではなく)ニオイだった。
私が席に着いたときは周りはまだ、まばらだったので、どなたのニオイかは直ぐ分った。
品のよい老夫婦の、もちろん奥様の方。
でも、あまりいい好みの香りではない。
ニオイの迷惑は久々のことだった。

まあ、本当にありがとうございます、と言わなくてはいけないのかと思うほど、よくにおう。
これを嗅ぎながらの2時間、大丈夫かしら?と思いあぐねているうちに、みるみる人が埋まっていった。
皇后さまくらいのつけ方にしていただけないかしら?と思った。

お隣のご主人は奥様のにおいなど全く気にしていない様子。
鼻がバカに(失礼!)なっているのか、あたりまえのニオイになっているのか…。

たまらなくなって、座席番号を確認。だからどうするというわけでもないのに。

これに輪をかけて、最後の方でまた別の携帯が鳴る。

隣に座った夫婦の奥さんからは寝息が聞こえてくるし、最初は奥さんをつついていたご主人までが、コックリ。
私がつつくわけにもいかないし。
けれど、演奏は夢のようだった。

晴美さんのピアニッシモが美しかった。

どちらかと言えば、華奢なお身体からは想像もできないほどのパワフルなイメージを持つ方がいるかもしれないけれど、美しい粒のそろったちいさな水の玉が、美しい水面を転がるような音色は圧巻だ。

また、ビスチェのドレスが素晴らしかった。色といいデザインといい、多分、お好きなシャネルなのかな?と想像した。
アイスグレーという色の呼び方があるかどうかはわからないけど、私にはそう感じる美しく品のよいグレー。

ピアニスト・花房晴美さん、日本デビュー40周年の記念リサイタル。

「聴衆に大きな問題アリ、ではあったけれど、晴美さん、おめでとうございます。アンコールの中でも、特に 月の光 には酔いしれました」


帰途、電車に揺られながら、あ、そうか、と気づいた。



  ―  仕方ないわね。きょうは13日の金曜日ですもの ―








   











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